自分の体験したこと

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中高年の再就職セミナー

 35歳の時の話です。

 平成16年の3月、「中高年の再就職セミナー」を受講した。就職に不利な中高年がデスクワークに就ける方法を教える目的のセミナーだった。カリュキュラムは、応募書類の書き方の説明、グループディスカッション、面接シミュレーション、スローガンの作成だった。グループワーク中心の授業だったので、言いたいことをどんどん言った。「日本の会社は定時で帰る人をとつまはじきにする」、「会社の人は常に口煩い」、前社(P社)の悪口など、しょっ中愚痴をこぼしていた。あまりにも度が過ぎていたので「もう起業するよりしょうがないよ」と怒り出す受講生(Sさん)もいた。自分だって日頃から「面接中に面接官が煙草を吸っていた。こんな会社こっちからお断りだ」のように転職活動についての不満をたらたらと言っているくせして、人のことばっかり非難すると腹が立った。他にも「太っていると思うなら痩せる努力すればいいのに」とか「マイナス思考だ」などと脇から口を挟まれ癇に障っていた。

 グループディスカッションの最中に「S社のNさんは、自分が先輩だからといって私に洗い物や掃除などの雑務を押し付けた。先に入社しただけなのに何が偉いんだ! 人間は皆平等なのに! 人に余分な雑務を押し付けといて事務処理が遅いとぬかしやがった!」、「女性だけに掃除やお茶くみをさせるのは男尊女卑だ」などと言った。そしたら、50代の男性Aさんが、「私は皆より朝早く出勤して女性事務員の机を拭いていました。いつも色々やってくれているという気持ちで掃除をしていました」と言ってきた。「何が言いたいのだろう? うるさいなぁ」と思った。そして、「会社の人はわざととミスしたわけでないのにガミガミと怒る。ミスが多いと紙とインクが無駄になると怒る上司もいた」と文句を言ったら、今度は「今日10個のミスをしたのなら明日は9個になるように頑張ろうという風に、毎日一つずつミスを減らすように努力していけばいい」と言ってきた。「仕事が長続きしないのでスキルが身についていない。美点やセールスポイントがない。応募書類に書くことがない」と言ったときは、「些細な時間を見つけてはゴミを拾うなど、常に事務所を清潔に保つように心掛けていました、事務経費節減のためにミスをしないように細心の注意を払ってきましたなどもいいじゃない」と言ってきた。Aさんはいかにも「私は人生の先輩ですよ」と言わんばかりに色々お節介を焼いてきた。人にそこまで言えるならわざわざこんなところに来なくてもいいのにと思っていた。

 面接シミュレーションでは受講生が面接者、被面接者の役をやった。このシミュレーションでは「欠点」、「不得意なこと」などマイナスに関することは質問しないことになっていた。一人が被面接者役を終えると面接者役の人がその人に何かアドバイスすることになっていた。「ジェスチャーを使わないように」とアドバイスされたことがあった。別のシミュレーションのとき、興奮しすぎて、つい「日本の会社では終業時刻後、いつまでもデスクにへばりついているのが美徳とされていますが御社はいかかでしょうか?」と発言してしまったことがあった。そのシミュレーションの後、面接官役の受講生(50代の男性Bさん)に「私なら雇いたくないね。仕事をやろうとする姿勢が全く感じられない」と痛烈に非難されてしまった。

 私がSさんの面接官役をやったとき、Sさんの神経を逆撫でするような質問をいくつかした。普段からSさんにはムカついていたのでついそうなってしまった。「欠点は何ですか?」と尋ねた途端に急にキレ出し「欠点は聞かないことになっているのに!」と食って掛かってきた。私も負けずに「婚活のとき職がないとかっこ悪いと言っていたが、仕事は飾りのためにするんじゃない! 仕事の心構えが成っていない! そんな人、私なら雇いたくない!」などと言い返した。Sさんの売り言葉をきっかけに、彼女の普段の言動についての怒りをその場でぶつけた。「あんたなんかに雇ってもらわなくても結構、デブ!」と罵られたとき、逆上してしまい大声で悪態ついた。Sさんが窓の方を見て、「ここから飛び降りろ!」と挑発してきたときは「うるさい! てめえが飛び降りろ!」と怒鳴った。お互い取り乱して罵倒し合っているうちに講師とスタッフが止めに来た。講師らが止めたにも関わらず、Sさんは執念深くいつまででもブツブツ悪態をついてきた。面白くなかったのでその日の昼休み、私の隣の席の人にグズグズとSさんの悪口を話した。

 喧嘩になる前から、私は昼休みになるとはCさん(Sさんの隣の席の人)に彼女の悪口を色々話した。「どうせ母親の仕送りで生活しているなら仕事なんか探さなくていいのに」とか「複数の人と付き合うなんて身持ち悪い」などと。

 セミナーが始まったばかりの頃、SさんやCさんとお茶を1、2回飲んだことがあった。そのときSさんは、「ある人からこの婚約指輪をもらったが迷いがあるので別の人を探している」と話した。それを聞いてムッとした。別のときは「今、会社経営者の人と付き合っているが、彼は年収1000万だと言っていた。しかし、どうも怪しい。探偵事務所で働いている知り合いに調べてもらおう」と話した。その話を聞かされたときは「何様だ!」と更に腹が立った。日頃から「お見合いなんて条件のぶつけ合いだ」とか「年収が全て」などと言っていたので、「鼻持ちならない俗物め!」と腹を立てていた。とにかくSさんの言うこと成すこと全て小生意気で癪に障ってしょうがなかった。余談であるが、私はその当時、「冬のソナタ」にはまっていた。だから、Sさんの俗物根性を余計に不快に感じたのだろう。

 Sさんとやり合った日の午後からは、グループで再就職に向けての決意、目標、心構えなどをテーマにしたスローガンを作成することになった。「何でポスターなんか作らなければならないの? 小学生や中学生じゃあるまいし、とろくさい。こんなくだらないことで時間を費やすぐいならまぁ帰ろうか」と思い、駄目元でA講師に「個別相談はできませんか?」と聞いてみた。案の定、できないと言われてしまったので、「では、もう帰ります」と言ってその場を去って行った。

 このセミナーでは過去の会社の悪口や不平不満をしょっ中言いセミナーの雰囲気を乱してしまったが、そもそもグループディスカッション中心のカリキュラム自体に問題があった。私も含めて全ての受講生は、中高年向きの応募書類の書き方、面接を成功させるコツを学ぶ目的でセミナーに参加したのに、延々とディスカッションさせたり、スローガンを作らせたりするなんてとんでもない。肝心なことを教えてもらえなかった。チンタラチンタラとしたカリュキュラムだから、言いたい放題見境なく言う人が出てくるのだと思った。

 2日以上、終日同じ顔を合わせるような場では必ず1人や2人饒舌な人が出てくるものである。だから、何かとトラブルが起きてしまう。